未来の日本語〜カタカナの表記ルール〜
未来の日本語について考えるシリーズ第一弾です。今回は、カタカナの表記ルールをこうすべきだという考えについて述べていきます。
言葉は時代とともに進化していくものです。ただし、間違った方向へ突き進んでしまう場合もあります。逆に、現代語のルールが良い方向への進化を阻害してしまう場合もあります。
このシリーズでは、日本語が世界で生き残るための戦略として、こういう方向へ進むべき、そのためには現代語のルールをこういうふうに変えていくべきという私案を披露したいと思います。
なお、当記事は日本を自虐したり他国をヨイショするような意図はありません。また、ここでいう○○人とは、○○語を母言語として育った人のことを指します。
英語が苦手な日本人
なぜ英語が苦手なのか
日本人は英語が苦手だと言われて久しいです。もちろん、日本以外にも英語が苦手な人はたくさんいるでしょう。しかし、英語力を勉強時間で割れば、日本は世界で最下位レベルではないでしょうか。
その理由として、巷でよく挙げられるのが以下の説です。
- 学校で文法ばかり教えられすぎている
- 性格や文化の問題(間違えるのが恥ずかしい、多様性に不寛容、etc. )
- 日本語と英語は語順が違うから
まず 1.に関してですが、私はそれではないと思います。文法は大事です。というより、教師も英語を話せないので、会話ではなく文法を教えるしかないのです。
次に 2.に関しては、私も色々と思うところがあります。けれども、これを語ると横道に逸れてしまうので、今はやめておきます。
そして 3.についてですが、これは確かにあると思います。しかし、それだけでは説明のつかない、ある事実があります。それを次節で述べたいと思います。
なぜか英語力の高い韓国人
韓国へ旅行へ行かれたことがある方はわかると思いますが、英語堪能な人の多さを体感するでしょう。もちろん、全員ではありませんけどね。
韓国語は語順が日本語とほぼ同じです。勉強時間も、日本人とそれほど変わらないはずです。では、なぜ韓国人のほうが日本人より英語を流暢に話せるのでしょうか?
その理由は、発音にあります。
- 英語は基本的に音節が子音で終わる
- 韓国語は子音で終わる音節と母音で終わる音節が半々くらい
- 日本語は基本的に音節が母音で終わる
端的に言うと、発音に関しては日本語と英語は対極にあり、韓国語はその中間に位置するということです。
付け加えると、韓国語は英語と同様、表音文字で “저는 일본 사람입니다.” のような「分かち書き」をします。なおかつ、子音で終わる単語が後続の単語へ「リエゾン」するという点においても、英語と同じです。
つまり、韓国人のほうが日本人よりも、英語の聞き取りや発音において有利なのです。
母音で終わるのが日本語らしさなのか
日本語は「ん」と「っ」を例外として、全ての音節が母音で終わります。英語とは真逆です。これこそが日本人にとって英語の習得が困難な最大の原因なのです。
ということは、日本語も子音で終わる単語や音節を増やせば良いと思うのです。
そういう意見もあるでしょう。でも、本当にそうでしょうか?
少なくとも、外来語に限って言えばそうだと思います。例えば「スーパーマーケット」や「ショッピング」が、発音的にも字面的にも美しい日本語だと言えるのでしょうか?
また、言葉というものは本来、音節一つ一つに意味があります。発音が崩れてしまうと、言葉が持つ本来の意味が失われてしまうのです。なので、元の発音からかけ離れた外来語が定着してしまうと、その言語を習得することがより困難になってしまうのです。
なぜ母音をつける習慣が生まれたか
そもそも、やたらと母音を付ける習慣ができてしまったのは何故でしょうか。その理由はシンプルで、現代語の表記ルールによる制約の為です。
子音で終わる音節を表記できないから。
ただし、先ほども述べた通り、「ン」と小さい「ッ」が例外です。
ちなみに、活字が普及する以前の日本では、現代ほど母音を付けていなかったという説もあります。現に、地名などにその名残が散見されます。
思うに、明治政府の近代化政策の中で、子音単独の表記文字を「ン」と「ッ」に集約してしまったことが原因ではないでしょうか。
カタカナ表記ルール改定案
さて、問題提起はこのへんにしておきましょう。兎も角、私の持論は以下の通りです。
- 外来語に限り子音で終わる音節を許容し、不要な母音を補う習慣をなくす
- カタカナの表記ルールを改定し、「ン」と「ッ」以外にも子音単独の表記文字を増やす
そうすることによって、日本人の英語力を飛躍的に高めることができると考えています。
キーワードは「ン」と「ッ」
何度も述べた通り、現代の表記ルールにおいて、「ン」と小さい「ッ」だけが、子音単独の表記文字であり、子音で終わる音節を表記できる唯一の手段なのです。
ローマ字で「ン」は「n」で表記されます。つまり「n」の子音で終わる音節を表記するための手段として「ン」が存在するわけです。
一方、「ッ」は不特定で、「Sapporo」「Wakkanai」のように後続の子音と同じローマ字が当てられます。このことから、「ッ」は「p」や「k」など、様々な子音で終わる音節を表記するための手段として用いられています。
ただし、単語の末尾に「ッ」を用いてはいけないという謎ルールがあり、そのため「イット」「カップ」のように余計な文字を末尾に補完してしまっているのです。なぜ補完してしまうのかというと、「ッ」の正体が「p」なのか「k」なのか、はたまた「t」や「d」なのかを判別するための苦肉の策だったのではないでしょうか。皮肉なことに、その結果として「itto」や「kappu」のように、末尾に余計な音節を付与してしまい、元の発音からかけ離れてしまったのだと思います。
小さい「ッ」の仲間を増やそう
そこで、新たに以下の表記ルールを導入してはどうかと思うのです。
- 小さい「ッ」のバリエーションを増やす
- 小さいカナで終わる単語を許容する
たとえば、小さい「ト」や小さい「プ」などを投入し、「t」や「p」などの子音で終わる音節を表記できるようにするのです。
そうすることで「イット」や「カップ」を「イト」「カプ」と表記することができます。その結果として、「it」「kap」といった具合に、元の言語に近い発音を定着させることができるのではないでしょうか。
小さいカタカナのバリエーションを増やすことにより、小さい「ッ」に該当する子音ばかりではなく、様々な子音を表記できます。たとえば、小さい「ル」や小さい「ム」などを用いて、「r」や 「m」の子音で終わる音節を表記することだってできます。
実はこれに似た表記方法が、とある人気漫画におけるアイヌ語の固有名詞で用いられています。漫画で使用されているくらいですから、それほどハードルは高くないはずです。
「ン」は「n」ではなく「ng」にしよう
小さいカタカナを増やすことによって「n」を小さい「ヌ」で表記することもできます。少し横道ですが、時代劇で「なりませぬ」や「ならぬ」などの台詞が登場しますが、実際のところ昔は「ぬ」と書いて「nu」ではなく「n」と発音してたのではないかと思うのです。
それは兎も角、「ヌ」で「n」を表記できるのであれば、「ン」がご用済みになってしまいます。そこで、「ン」を他の音に当てましょう。
「ン」を「ng」に当てよう!
「ng」は英語の「〜ing」など、諸外国語で頻出する子音ですが、「ング」なんて発音しているのは、おそらく日本人だけです。実際は「ア」に近い「ン」です。
用例
さて、上述のような表記ルールを導入した場合の用例について、具体例を見てきましょう。気をつけるのは、小さいカナカナには母音を付けず、直前の大きなカタカナとワンセット1音節で発音することです。小さいカナカナを「ッ」や「ン」のイメージで発音してみてください。
| 新規 カタカナ | 該当する 子音 | 元の英語 | 従来の 表記法 | 新しい 表記案 |
|---|---|---|---|---|
| ク | c / k | picnic | ピクニック | ピクニク |
| ス | c / s | bus | バス | バス |
| ズ | s / z | is | イズ | イズ |
| ツ | 従来通り | – | – | – |
| ト | t | it | イット | イト |
| get | ゲット | ゲト | ||
| ド | d | would | ウッド | ウド |
| did | ディド | デイド | ||
| ヌ | n ※ | N | エヌ | エヌ |
| can | キャン | キヤヌ | ||
| フ | f | F | エフ | エフ |
| myself | マイセルフ | マイセロフ | ||
| プ | p | cup | カップ | カプ |
| ブ | b | Bob | ボブ | ボブ |
| ホ | h | oh | オー | オホ |
| ム | m | M | エム | エム |
| I’m | アイム | アイム | ||
| ル | r | super | スーパー | スペル |
| order | オーダー | オルデル | ||
| ロ | l | alcohol | アルコール | アロコホロ |
| walk | ウォーク | ワロク | ||
| ン | ng ※ | shopping | ショッピング | シヨプピン |
| walking | ウォーキング | ワロキン | ||
| wearing | ウェアリング | ウエアリン |
課題
小さい「ド」や「ブ」「プ」などは見分けが付きにくいので再考の余地がありそうです。また、「ン」は「n」と「ng」両方に適用できるようにして、「ng」専用として「ン」に「゛」を付けた文字を導入するなんてどうかなと思ったりもします。
総括
まあ、課題は色々あると思います。けれども、カタカナの表記ルールを改定するだけで、日本人の英語力をかなりのレベルで底上げできると私は信じています。
今回は子音で終わる音節の表記という点にフォーカスしましたが、他にもワ行の表記や「r」と「l」を区別する方法など、色々と思いを綴っていければなと思います。
とりあえず、今回は以上
「未来の日本語〜カタカナの表記ルール〜」への2件のフィードバック
これらの考案を実現するためには相当の時間がかかり、日本人の英語に対する苦手意識が直るかは正直疑問ですが、一つの案としては実にに興味深かったです。
主さんの日本語のこれからを少しでも変えていってみようとする心意気は素晴らしいと思いました。
これからも未来の日本語に対する意見を聞かせてほしいですね。
taro yamasita様
コメントいただき、ありがとうございます!
ネット上には「日本スゴイ」「日本語は神の言語だ」系のコンテンツが溢れかえっています(笑)が、それに現を抜かして変化を拒んでいては、日本は世界から取り残されてしまいます。
英語の世界共通語的な立ち位置はおそらく今後も揺るがないでしょう。日本人の母言語である日本語を、いかにして世界の主流に近付けるか、真剣に考えるべき時が来ていると思います。
これからも、こういう情報を発信していきたいと思いますので、ぜひ期待してください!