琉球歴史ドラマおもろい!

琉球歴史ドラマおもろい!

『琉球歴史ドラマ』は沖縄県の地方放送局であるRBC琉球放送が制作する歴史ドラマシリーズです。現在までに『尚巴志しょうはし』(2017)『尚円王しょうえんおう』(2020)『阿麻和利あまわり』(2024)の3作品が放送・配信されています。

鑑賞の動機

沖縄県外の日本人にとって、沖縄の歴史を知る機会がほとんどありません。なんとなく、琉球王国という国があって、首里城がメインのお城だということくらいしか知らないでしょう。

私もその類だったのですが、先月のプチ沖縄旅行で勝連城かつれんじょう中城城なかぐすくじょうなどを見物して、少しだけ沖縄の歴史に興味が湧いたのです。そしたらつい先々週、ネット配信でこのドラマシリーズを見かけて、一気見してしまったというわけです。

シリーズ解説&レビュー

作品概要

題材

いずれも14世紀から15世紀にかけての琉球王国黎明期を舞台にした作品です。室町時代初期、金閣寺や銀閣寺が建立された頃と同じ時代だと思ってください。

小河ドラマ

三作品とも三話完結なので、NHK大河ドラマや韓流歴史ドラマに比べるとかなり短いです。しかし、予備知識の無い題材であれば、それくらいが程良い長さだといえます。

一話あたりの尺は約45分で、ラスト4分は場所や人物の解説です。その点においてはNHK大河ドラマに似ていますね。

現地キャスティング

俳優陣やスタッフはほぼ全員、沖縄の方々です。セリフは標準語と沖縄方言がうまく交互に混ざっています。

それにしても、沖縄は歌手だけでなく俳優も層が厚いです。

レビュー

わかりやすいので面白い

トータルでの感想は以下の一言に尽きます。

おもろい!!

いえ、ゲラゲラ笑う意味での「おもろい」ではないです。沖縄の方言で「おもろ」は「思い」のことで、面白さだけではなく悲しさや感慨深さなど、いろんなニュアンスを含んでいます。日本語古文の「おもしろき」に近い意味で、現代の俗語でいう「エモい」とほぼ同義です。

さすがに「おもろい」だけでは抽象的すぎますよね。いろんなニュアンスを含んだ「おもろい」の中から、敢えて1要素だけ取り出すとすれば「わかりやすい」ですね。

わかりやすさの要因

面白いとわかりやすいは別物やろうと突っ込まれるかもしれませんが、それが一番大事なのです。なぜなら、私のように沖縄の歴史に関する予備知識が無い視聴者にとって、わかりやすさこそが面白さを満たすための必要条件なのです。

おそらく、制作側もそれを意図していると思われます。たとえば、主要登場人物の名前がご丁寧に大きな文字で出てきますし、劇中のセリフでメタ発言ギリギリなくらいにまで人物相関を説明してくれたりするんですよ。

また、「ヒーロー」「仲間」「悪役」「ラスボス」という風に、登場人物の立ち位置が明確です。慣れ親しんだ題材でそれをやられると安っぽく感じるでしょうが、馴染みの無い題材であればその方が物語に入り込みやすいのです。

冗長すぎない詰め込みすぎない

あと、三作品とも展開のテンポや詰め込み具合が丁度良かったと思います。間延びしすぎて退屈に感じることも無く、かといってドタバタすぎることも無く、そのあたりのバランスが良かったと感じます。

作品別解説&レビュー

では、作品別の解説とレビューを書きます。ちょっとネタバレを含みますが、史実ベースという時点で半分はネタバレしてるようなものですけどね(笑)

尚巴志

作品概要

2017年放送、記念すべき第一作目です。群雄割拠の時代、地方豪族の息子だった尚巴志が琉球を統一し、初代琉球国王となるまでの道のりを描いた作品です。

レビュー

王道中の王道な展開ですが、そこが一番の推しポイントです。予備知識の無い題材ゆえに、変に捻られると話についていけなくなりますからね。そういう意味でも、まずは本作から鑑賞することをお勧めします。

本作での尚巴志さはち(演:金城大和)は民衆思いでありながら先見性と行動力を兼ね備えた人物として描かれています。私は個人的に、アンチヒーロー型の主人公よりも、本作のように「純粋無垢だけど実は有能キャラ」な主人公に感情移入しやすいので(笑)清々しい気分で観ることができました。

ライバルと琉球空手で対決するシーンは流石に失笑物でしたが、それはそれで沖縄らしさの演出要素としては成功してるんじゃないかと思います。

盟友である護佐丸ごさまる(演:安泉清貴)やラスボス攀安知はねじ(演:岸本尚泰)との出会いのシーンに関しても、テンプレ的ではあるものの、今後の展開を確かめたくなる原動力として上手く機能していたと思います。

尚円王

作品概要

2020年放送の第二作目です。尚巴志王没後の琉球王朝が後継者争い等で混乱を極める中、一介の農民だった金丸かなまるがクーデターを起こし尚円王として即位するまでの過程を描いた作品です。

レビュー

本作での金丸(演:知念臣吾)は計算高いのかいい加減なのかよくわからないのですが、自然と周りに人が集まるキャラです。また、これはドラマのフィクションだとは思いますが、自分を狙った女刺客(演:島袋明希子)を助けて妻にしてしまうという、良く言えば豪胆、悪く言えば無防備(そして女好き)な人物として描かれています。確かにこれだけの豪胆さがあれば王にもなれるだろうという説得力を視聴者に与えてくれています。

前作とは打って変わり、少しコメディ要素を交えた作品になっています。金丸の弟である宣威せんい(演:福地涼)が常識人ツッコミとしての機能を上手く果たしています。

前作ほどの王道展開ではありませんが、かといって捻りすぎず、わかりやすさが維持されています。まさに二作目に相応しい作品といえます。

阿麻和利 – THE LAST HERO –

作品概要

2024年放送の第三作目です。勝連半島を圧政から救ったヒーローである阿麻和利が首里城の琉球国王から謀反の疑いを着せられ、滅亡していくまでの過程を描いた作品です。

時系列的には、前作の少し前になります。前作と同じキャストが同じ役で出演しており、前作の伏線回収が随所に盛り込まれています。

レビュー

三作の中で一番面白かったのが当作品です。

本作での阿麻和利(演:佐久本宝)は一介の村人で、しかもあまり冴えない男として描かれています。そんな彼がラスボス感満載の先代勝連城主(演:末吉功治)を倒して新たな城主となり、しかも政略結婚とはいえ琉球国王の王女(演:比嘉梨乃)と結ばれるわけですから、アメリカンドリーム感なサクセスストーリー(少なくとも前半までは)といえます。

しかし、成功者が妬まれ疎まれるのは世の常です。史実通り、後半は謀反の疑いを着せられ転落していくストーリーになっています。このとき彼を救うべき旧友の面々、金丸が無能モードだったり賢雄けんゆう(演:神田青)が脳筋石頭だったりとイライラ要素があるのですが、なぜかイライラを通り越して少し笑えてしまうんですよね。

ラストシーンは賛否ありそうですが、私はあれで良かったと思います。勝連城でローマ帝国のコインが見つかったのは実話で、それをドラマの中に落とし込む脚本の技法は見事だと思いました。

総括

繰り返しになりますが、本当に三作ともおもろいです。沖縄の歴史に少しでも関心がある人、もしくは沖縄旅行でお城を観光したことがある人であれば、絶対に楽しめると思います。なので、是が非でも観て欲しいですね。

三作目のサブタイトルが 「THE LAST HERO」なので、これで最終作なのかなという気がしないでもないですが、それでも次回作に期待したいと思います。

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